やっぱり顔立ちは変わらないけど、この男が黒髪って事実が全然慣れない。あと、男の裸に耐性がないので直視できない。


顔を逸らすと、もう一度「ゆず」と名前を呼ぶから思わず顔を声のほうへむけそうになった。



どうせ逸らしてしまうし、今あたしはこいつの顔を見たくない気分。




「俺のこと、わかる?」




目を合わせないまま、あたしは顔を背けたまま会話は継続されるらしい。見なくていいなら会話くらいなら、いいか。ただの一問一答くらいなら。


今この状況はわからなくても、この男のことがわからないわけはなかった。



「……瑛くん」


「お。うれしーな。じゃあ、昨日からの記憶はある?」


「……ない」