“全員が”なんて言いつつ、あたし以外と目を合わせず一直線にあたしに視線を送っている。


そのまっすぐすぎる瞳、その奥にはどんな狙いがあるのか全く読めないけれど、ひとつわかること。みんな、なんて建前で、“羽山柚果”だ。



いくら経験がなくたって、そんなに馬鹿じゃない。十分すぎるほどにメッセージの込もった深い眼差し、交錯する視線、わかってしまう。



たぶんあたしは、まっすぐ自分を見つめてくる人間に、弱い。あたしのことをまっすぐ見てくれる人、いなかったから。


常に見られていたのは表面上の取り繕った計算上のあたし。本質を見られてこなかったから、こんなにもまっすぐなのは慣れない、耐性がない。



周りは瑛くんの真意にどれだけ気づいているだろうか。ひとり、またひとりとYESが増えていって、あたしだけがYESにもNOにも属していない。





「ゆずが行かなきゃ、俺は行かない」