誰の返事も待たずに「行かない」と意思表示しようとすれば、その前に先ほどの幹事感バリバリ男の声が奴へと飛んだ。


唯一の知り合いだからか、自分が声をかけられたかのように錯覚して、準備していたNOをひとまず引っ込ませる。




「瑛斗、おまえは?」


「んー、」




煮え切らない曖昧な返事。こいつはどう返すのかと、演習室の外へ向けていた顔を後ろに戻せば、バチッ、っと音がしてもおかしくないくらいまっすぐこちらを見つめる彼と、目が合ってしまった。


深いダークブラウンにとらわれて、逃がさない、とでも言わんばかりに。




「全員が、行くなら?」