大学の1年間で、一コマ分しっかり寝て定刻に起きるという特殊能力でも身につけたのだろうか。おそらくこの世の大学に通う学生は当該能力の使い手だろう。




ガイダンスのある演出室に向かうまで、隣を歩くこの男、中学時点では成績トップクラス。外見によらず頭が良かった気がしていたけれど、随分としっかり大学生に染まってしまったらしい。



自分で言うのもなんだけどこの大学に入学できている時点で、高校も勉強面だけは真面目に生きてきたんだろうとは推測できるけど。



あたしが彼を知っていたのは中学まで。当たり前に、お互いに、高校の間と大学1年の様子を知らない。変わるに決まっている、お互い。




「瑛くん、1年のGPAいくつ?」


「3.8」


「マジか、教授と寝た?」