と、耳に直接声を吹き入れられて、恥ずかしくなるリップ音が続いて、耳に柔らかい感触が落ちてきた。
「……っ!?!?」
耳元に落とされたその感覚、その熱が全身に広がっていく感覚があって、思わず耐えられず立ち上がってしまった。
ガタッと大きく音を立ててしまったので一斉に視線があたしの方へ向いたのを感じた。いつぶりだ、こんなに視線を受けたのは。
それでもすぐにみんなの興味は自分たちの内職に戻るのであたしは静かに座り直すだけで。
おじいちゃん先生も特にあたしに何か言うこともなく授業を続けていて。自分の世界に戻れないのは、あたしだけ。見なくてもわかる。きっと余裕そうに笑っている隣のバニラのせい。
もう顔なんて向けてやるもんか。代わりに思いっきり足を踏みつけてやる。
【ゆず、変わったね】
【また後で】