「久しぶり、ゆず」

「……うん」

「同じ大学だったんだ」




あたしと、彼だけが聞こえる声。隣があたしと気づいたところで移動する気はないらしい。


講義室は後ろの方が騒がしく、おじいちゃんが頑張って話している。



地獄に落ちろなんて思っておいて、あたしは今、関西でもないのに“2回生”と言いたがるギャル女たちと同じく先生の話を聞けていない。



隣に座った元・理想の王子様のせいだ。この男は王子様なんかじゃなかった。同じだ。佐原先輩や白ギャルたちと同じ部類だ。




「何学部?」