大学に入学して、わかってきたこと。
あざとカワイイなんて誰も求めていないこと。
誰かと過ごさなくても困らないこと。
自分から繋がりを持たなければ繋がることのできない大学というコミュニティで、あたしが誰かと関わりを持とうとは思わなかった。
ギャルたちとも気付けば縁はすぐに切れた。
大学入学までのあたしの職業は、絶対的に「可愛い」だったように思う。
【職業:可愛い】だなんて、これまでのあたしにしか許されなかったと思う。
気がつけば、“あざとカワイイ”の重装備を捨てたあたしに近づいてくる人間は男の子も女の子もいなくなっていた。
キラキラキャンパスライフとはかけ離れた単独行動女子大生がこうして爆誕したのである。
現在、20歳の大学2年生、羽山柚果。
もう2年になってしまったのか、と浸る間もなく日々が過ぎてゆく。
同じことの繰り返し、周囲に人の寄ってこない、可愛くないあたしの日々。
そんな日々が突如として変わったのは、いつも通りひとりで授業を受けていたとある日常のキリトリであった。
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