……佐原直哉先輩。

理想の王子様、ではなかったけれど、サークルのビラ配りをしているその姿が、ちょっとだけかっこよかったから。


理想を追い求めすぎたら、枯れ切ってしまう、と一種の妥協。そんなあたしに、またバチが当たった。


いつもみたいにあざとく近づけば簡単にご飯の約束にありつけた。


ほらあたし、やればできるんだから、なんて思っていたのがバカみたい。



佐原先輩も、他の男の子たちもみんなきっと、あの上辺のギャル友人たちや今の女の人みたいな、すぐにそういうことができて、付き合うとか付き合わないとかどうでもいいような、そんな関係でいい女の子が好きなんでしょ?と。



慣れてて経験もある女の子がモテる、あたしみたいな経験のない女はモテない。

そして最後に、あたしの目を覚ますような、理想じゃなかった王子様のトドメ。





「つーかさ、そもそも、大学生にもなってあざとキャラは痛いよな」