「──二度は助けない」


そう言って背を向けて去っていこうとした彼の腕を、勢いよく掴んでしまった。が…そんなものはすぐに振り払われてしまい、逆に胸ぐらを掴まれて壁に身体を押し付けられた



「なにを、企んでる?」



グッと顔を近づけられて…心臓が今まで生きてきた中で最速のスピードで鼓動を打つ。顔が近づいてくる前に、街灯で照らされて見えてしまった彼の首元にある刺青、、




それがなんの形なのか、何を意味するものなのかは知らないが…それすらも魅力的に感じた




──あぁ、どうしよう…何だろうこの気持ち



知っていると思った。この高鳴る胸の鼓動も程よい緊張感も、どこかで感じたことのあるものだと、、っあ…思い出した。



高校の時どハマリしていたKーPOPアイドルのコンサートに行った時の感情に近い。初めて自分の"推し"を見つけた時…確かに今と同じような感情が芽生えたのをよく覚えている。




───神推し、みっけ。




「……気持ち悪い目で見るな、クソガキ」



推しは、どうしても私のことをクソガキ扱いしたいらしい。二十歳だよ?現役女子大生ですよ?それに今の私は無敵の酔っぱラッパーヒラリー嬢ですが?




「お礼したいです。お名前を教えてくださ、」


「必要ない、もう二度と会うことは無い。」



くだらない、っというように私の身体から手を離して…汚いものを触ったみたいに手をパンパンと払う私の推し。




あーあ、行っちゃう。どうせもう二度と会わないなら推しとの一生の思い出を作らせてもらってもいいだろうか?…いいよな?私だってさっき突然目隠しをされて怖かったし、まぁお互い様ということでっ、