「九蘭さんの席は、一番後ろの窓側から2列目です」

「わかりました、ありがとうございます」



席について、自分の豪運をひとりでかみしめていると、



「九蘭さん、よろしくね。私も今年の7月に転校してきたんだ」



右隣の女の子が、わたしに声をかけてくれた。



「こちらこそ、よろしくね!あの、お名前は?」

「あ、私は栗山 波留(くりやま はる)です!」

「そっか、じゃあ“はるちゃん“って呼んでもいいかな……?」

「うん、もちろん!私も“みやびちゃん“って呼ぶね!」



早速、お友達ができてしまった。

幸せを噛みしめていると、今度は左隣の男の子から声をかけられる。



「僕は篠宮 奏音(しのみや かなと)です。多分3月まで席変えないから、それまでお隣、よろしくね」

「うん、よろしくね!」



すると、女の子たちが少しざわつき始めた。



「いいなあー、王子の隣の席。無条件で声かけてもらえるとか、羨ましすぎる……」

「ほんと、あそこ特等席じゃん。てか後ろの席、転校生率高くない⁈」



「実は、僕もこの4月にこの学校来たばっかりなんだよね」

「そうだったんだ……!」



どうやらお隣の篠宮くんは、クラスの人気者みたいだ。