時代劇でおなじみの、あの台詞で高笑いをしたと思ったら、その次は越後屋がこれまた定番のごとく代官に怪しい包みを差し出した。


「お代官様♪これはつまらぬ物でございますが、甘いものなどお持ちしましたので、どうぞお納め下さいませ♪」


そう言って上品な藍色の風呂敷に包まれた四角い箱を差し出すと、越後屋は、にやりと上目遣いで代官を見る。


その包みを受け取った
代官は、それを自分の脇に置いてすぐさま包みを解き、箱の蓋を少しだけ開けて中身を覗く。


「ほほぅ…饅頭か…
いやいや、これは良い。儂は饅頭が大の好物でな♪」


箱の中には、代官の言う通り饅頭が整然と並べられていた。


しかし、思いのほか厚みのあるその箱は饅頭一段にしては大きすぎる。


それに気付いてか代官は、何か含みを持たせる様に次の言葉を続けた。