越後屋に代官、そして大目付けの良からぬ企み…そんな弥七の話を聞いて、シチローの探偵の血が騒いだ。


「まるで時代劇そのまんまの展開だな…大目付けが関わってるとなると、事によっちゃあ幕府に対する謀反に発展する可能性大って訳か…」


そんな推理をして、シチローはポケットから煙草を取り出しておもむろに火を点けた。



「うわっ!!シチロー殿!今、何をなさった!」


「えっ?…何が?」


突然大声を出し、目を丸くして驚愕の表情でシチローを見る助さん、格さん、そして弥七。


シチローは最初その意味が分からなかったが、この時代が江戸時代だと気付き、すぐにその訳を理解した。


「ああ~♪『ライター』の事か♪これはね…何というか…魔法の一種でして♪」


何と説明すれば良いのか…シチローは、とっさにそんな言い方をしてその場をしのいだ。


普通、江戸時代で火を起こすとなれば、それはもう大変な労力を必要とする。


それを涼しい顔で一瞬にして煙草に火を点けてしまったのだから、魔法と言う他は無いだろう。


「素晴らしい術であるな!」


助さん達は顔を見合わせて感心していた。