「あぁ…この場所は食い辛ぇな…」


その声が聞こえて来たのは、チャリパイと御老公達の上方…店の天井からである。


「むっ…その声は、弥七か?」


助さんが片方の眉を上げて、声のする天井を見上げると、その天井を塞いでいる板がスルリと開き、『風車の弥七』が顔を覗かせた。


「ここは暗くて、何食ってんだかわからねぇや…」


「ってか、そんな所で飯食ってんじゃね~よ!
…それで、何かわかったのか?」


どうやらこの弥七、光圀の命を受けて、何か情報を収集していたらしい。


天井裏から、軽やかに床へ降り立った弥七は、神妙な顔付きで話し始めた。


「やっぱり御老公のにらんだ通りでした…『越後屋』と代官の山中、そして大目付の大隈…この三人で何か良からぬ事を企てているようです」


「なに!それはただ事じゃないな…」


弥七の報告に、格さんも顔色を変えて話に加わってきた。


助さんと格さんは互いに顔を見合わせて頷くと、光圀の方へと見やった。


「これは、大事になる前に我々でなんとかしなければ!…いかが致しましょう?御隠居!」




「びいる~おかわりぃ~♪」



「話聞いてんのかっ!
アンタはっ!」


さすがの光圀も、あの
ひろきと一緒にビール飲んでいては、酔いもまわるに違いない。