「間に合った!」
路地の角を曲がったシチロー達の目には、深夜にぼんやりと白く浮かんだ2メートル程の球体が映っていた。
その側には既に、てぃーだと子豚の姿も見える。
「ティダ~コブちゃん~♪お待たせ~♪」
「何やってんのよ~!
早くしないと消えちゃうわよ!」
付近には、多くの人間が歩いている。
こんな中で突然人が消えたりしたら、大騒ぎになろうという所だが、シチローは、パニックを避ける為に敢えてその人々に聞こえる様に、こんな言葉を叫んだ。
「さあ~♪世紀の大マジック。只今より、オイラ達4人はこの場所から消えて見せます!」
そして大衆が見守る中、シチロー達は堂々とその球体の中へと消えて行った。
ボワン…
「おお~っ!スゲエ!
」
「一体どんなタネなんだ~!」
まさか、そこにタイムトンネルがあったとは思いもしない人々は、誰もいなくなったその空間に向かって惜しみない拍手を送った。
そこへ現れた、先程の
ヤクザ…
「ハァ…ハァ…おいっ!今こっちに、男と女が走って来なかったか!」
『決定的瞬間』を見ていないヤクザは、拍手をしていた見物人の胸ぐらを掴んで問いただすが…
「き、消えちゃいましたよ…あの人達、マジシャンらしいから…」
「消えただとぉ~?
テメエ、俺をバカにしてんのか!」
「い…いや…だって本当に………」
「テメエ、俺は今最高に機嫌が悪いんだ!テキトーな事言ってんじゃね~ぞコラァ~!」
可哀想な見物人だ…
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