ど、どうしよう。

 まさかこんな時間差で来るなんて…あのおまじない、本物だったの?




「…とりあえず、学校に行って和音ちゃんに話そう」




 私は不安な気持ちを抱えながら、そう決めて家を出た。




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 学校に着くと、数日ぶりに、中村くんと朝一番に会うことができた。




「あ、おはよう、佐々木さん」


「お、おはようっ、中村くんっ」




 今日も中村くんから声をかけてもらえて、うれしい。

 うつむいて、よろこびをかみしめていると、中村くんは「あれ」とつぶやいた。




「佐々木さん、その左手、どうしたの?」


「え?…あっ」




 左手、と言われてあの赤い痕を思い出した私は、とっさに左手を右手で押さえる。