おどろきと、おびえが混じった顔をした中村くんを、私は青空をバックにながめていた。

 なにをしているのか、自分でも理解できない。

 “私”は中村くんの体を抱きしめて、落ちていく。


 落ちて、落ちて、落ちて――。




「「きゃぁぁぁぁぁあ!!」」






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「あの2人、なにがあったんだろう…?」


「さぁ…」



「佐々木って、中村のこと好きだったらしいぜ」


「じゃあ、佐々木が無理やり?中村、女運ないな…」


「女運っていうか、なんというか…あいつさ、子どものころ、母親に無理心中させられそうになったんだって」


「はぁ?」


「中村の父親、交通事故で亡くなったらしいんだけど…それで頭がおかしくなった母親が、中村と一緒に死のうとしたんだって。中村だけは助かったんだけど…」