理科室に忘れ物なんてしてないのに。

 どうするつもりなんだろう、と思いながら体に任せていると、私の体はたくさんのカギがならんでいる場所に向かった。

 そして、屋上とラベルが貼られているところのカギを手に取り、理科室と書かれている場所のカギを、屋上の場所に移した。


 うわぁ、大胆なことするなぁ…。




「失礼しました」



 おじぎをして職員室を出た私は、まっすぐ階段に向かって、ひたすら段差を上がっていく。

 屋上に着くと、持ってきたカギで屋上の扉を開け、外に出た。

 涼しい風を感じながら、私の体はフェンスに近づき、網に手をかけてガシャガシャと押し引きする。


 老朽化してるとは聞いてたけど、こんなにぐらつくなんて…それは、立ち入り禁止にもなるよね。


 私はフェンスから手を離すと、校門が見える位置に移動して、動かなくなった。