そして美穂はあっという間に校庭にいた陸都と凛花のところにたどり着くと、満面の笑みを二人に向けた。

「見て、私すっごく早く走れるようになったの! まるで空を飛んでいるみたい!」

しかし興奮気味に話す美穂の声に目もくれず、陸都と凛花はただ校舎の方をじっと見つめている。

「美穂大丈夫かな~」

「なぁ凛花、美穂が井戸の裏に隠れてるって言ってけど大丈夫なのかよ」

「何が?」

「だってあの井戸には鬼がいてさ、もし返事したら、命喰われて姿が見えなくなるって──」





──鬼ごっこ・完──