女の子が私の腕を掴むと、そこから黒い渦が出てきた。
 何? 何が起きたの──!?
 私は、声も発せないままその黒い渦に吸い込まれた。





 ぐすん……ぐすん……。

 まだ日の沈んでいない夕刻。
 公園に、小さな女の子の啜り泣く声が聞こえる。
 親切な若い女性は、その女の子に声をかけた。

「あら、お嬢ちゃん、どうしたの?」

「ともだちが、いなくなっちゃったのぉ」

「あらあら、それは大変ね」

「おねえさん、かわりにあそんでぇ……」

「いいわよ、何して遊ぶ?」

「あのね……」


 泣きながら下を向く女の子の口元は、微笑んでいた。

「だるまさんがころんだ」