兄貴が何を言っても美香は返事をしない。 部屋には、コーヒーメーカーのコポコポという音だけが響いていた。 ・・・ちゅっ 兄貴は美香の左手を取り、その甲にキスをした。 見なくてもわかる。もう大丈夫だ。そう思ったとき、 「美香?何で泣くの?」 という兄貴の焦った声。 私も思わず振り向いた。