弱気になった私は、ミーコにすがるような思いもあり、ノートに目を移しました。
 ノートの中ではミーコがスケッチブックに、絵を描いています。
 なんだろう? 何の絵だろう? 

 今日はまだミーコの部屋しか描いていないので、何を描いているのかわかりませんでした。
 改めて見たその絵は、人の形をしていて、顔は獣のようでした。
 何だろうこの絵! なんて奇妙なの。

 ミーコを見ると、取りつかれたかのように真剣です。
 ひょっとして私の心の醜さを、絵として描き上げているの?
 そんなことを考えながら、見つめていました。

 描き上がって行くその絵からは、喜怒哀楽の一つも感じ取れません。
 嫌だ、私そんなに冷たく写ってしまっているの? 
 私は恐怖のあまり呼吸も荒くなり、慌ててミーコに問いかけました。

「やめてミーコ、一体何を描いているの!」

 ミーコは振り返り表情変えずに、話します。

「猫の友達」

 恐怖のあまりその言葉を理解するのに、少し時間がかかりました。
「そうだ遊園地のキャラクター」
 我に帰った思いでした。

 惨めな自分を噛みしめている場合ではない。
 今日は体を休めつつも仕事をしなければ、私は会社を休んでしまった罪滅ぼしの気持ちもあり、遊園地のキャラクターを考えることにしました。

 別のノートを取り出し、チラシに描かれたキャラクターの友達を考えます。
「友達、友達、友達……」
 私は目を閉じ、心の中で何回も考えました。

 描き進めると、次々とキャラクター達が生まれていきます。

 優しい子、おしゃれな子、キレイな子、ワンパクな子、自分でも不思議な位、スラスラ発想が生まれ描き上がっていきます。

 描き上がるその子達は、何故か大事な存在に思えました。
 私はいつの間にか会社の人達をモデルに、キャラクターを描いていました。