ボーリングの勝敗は、鈴野さんが勝ち、私達のグループの負けのようです。
 
 負けたグループは来年のボーリング大会まで、会社のトイレ掃除を行う決まりがあるそうで、知らなかった情報に愕然としましたが、私以上にがっかりしていたのはトイレから帰ってきた橘専務でした。

 この日の為にマイボールを購入し、日々練習をしていたそうで、森川さんは笑いながら肩を叩きあやまっていました。
 
 ボーリング後の打ち上げ宴会は、私はお酒が飲めないこともあり、遠慮させていただきました。
 外に出ると小雨が降ってきて、皆空を見上げ気にしています。
 生憎傘を持っていなかったのですが、森川さんからいただいた、防水のカバンは大事なノートを守るために役立ちます。

「うわー最低、また天気予報外れたよー」

 石井さんも突然の雨に、髪型を気にしている様子でした。
 私は挨拶をし、別れることにしました。

「今日はお疲れさまでした」

 石井さんは、隣に居た杉田さんの肩を軽くたたくと、ニヤニヤ笑っています。

「杉田くーん大好きな美代子を、駅まで送っていってあげたら?」

 突然の言葉に、私は恥ずかしくなり、急ぎ足でその場を離れていました。

 楽しかった。

 顔に当たる小雨を感じながら、今日の日を振り返ります。
 何よりも石井さんの帰り間際の発言が、全てをそう思わせたのかもしれません。
 
 少し歩くと杉田さんが、走り寄って来てくれました。

「微妙な雨だね、コンビニ傘買うほどでは無いかな」

 雨の話をしていますが、先ほどの石井さんの言葉のせいか、杉田さんは顔を赤くしています。

 私も意識してしまうと、何か会話で誤魔化そうと思い、ボーリング場での話をしてみました。

「高木さん……大丈夫でしょうか?」

「うん、ああ見えて二人は仲が良いみたいだよ」

 恥ずかしさを隠す為、杉田さんに顔を向けられないまま、話題を続けようと意識しました。

「そうですか……でも、その、高木さんは、なんで桜井さんをあそこまで怖がっていたんですかね?」

 何も知らない私に、杉田さんは少し考え話してくれます。

「これはね、高木さんから聞いた話なんだけど」