着替え終り鏡の前に立つと、かなり派手な女性が写っていました。
上半身がとてもタイトで、腰部分から大きく広がるスカート、まるで古い映画に登場しそうな女性のスタイルです。
洋服自体はすごく可愛いんだけど、私が着ると学芸会の衣装みたいになっちゃう。
不安になりながらも時計を見ると、普段会社に出かける時間を過ぎていました。
急がなきゃ!
いつものようにガスの元栓を締め、ガラス窓の鍵、部屋の電気を指差し確認をし、ノートとお弁当、あまりお金の入っていない財布を持って会社に出かけました。
自転車だから恥ずかしく無い、大丈夫。
そう思っていても注目度が高く、すれ違う人は私を見ているようでとても恥ずかしい気分でした。
その派手ないで立ちに、男性は少し笑っているようで女性は驚いた顔をしています。
信号で止まると横に並んだ年配の女性も、驚いた顔をしています。
恥ずかしさを誤魔化すため、何故か初めてなのに会釈をしていました。
「あらー落下傘スカート。懐かしいわー」
知らない言葉が出てきました。
その方は私の服装を見て話しかけてきたみたいです。
優しいしゃべり方と微笑む表情に、当初の気持ちは忘れ会話を続けてしまいます。
「このワンピーススカート。そう言う名前なんですか? 知らなかったです」
「私も着てみたかったのだけど勇気が無くてねー、友人のを、憧れの目で見ていたわ」
たしかに腰の括れ部分から大きく広がる形は、写真などで見るパラシュートの形に似ています。
そんな愛称もついている洋服を他の方から褒められると、何だかまんざらではない気持ちになっていました。
「実を言いますと、この洋服は会社の先輩に頂いたのですが。あっ……」
言葉の途中で気が付くと、私は話を止めていました。
その方は突然のことに、疑問に思ったようです。
「どうかされたの」
「いえ、私。会社の方達に色々な物もらってばかりで、このバッグも上司が使っていたものをいただいてしまい、今更ながらそのことに気付きました」
「あら、良かったじゃない。それだけ貴方が好かれているのよ」
「でも、図々しいと思われないでしょうか」
「大丈夫よ、大事に使ってくれると思ったから、その方も喜んで貴方に渡したのよ。洋服やバッグもしまわれているより、使ってもらった方が嬉しいはずよ」
初対面ながらも、優しく接してくれるその方に感謝をしていました。
そんな気持ちの中、周りを見るとやはり注目する方たちが多くいました。
信号の向かい側でも、女子高生の集団が目立っている私を見ながら会話しているようです。
目立ちすぎるのもよくないなー。
再び恥ずかしさがこみ上げると、いそいそと別れの言葉をつげました。
「ありがとうございます。勉強になりました。あのーそれでは」
軽く頭をさげると、ご婦人は、小さく胸元で手を振ってくれています。
私は信号が変わると、その場を去りました。
上半身がとてもタイトで、腰部分から大きく広がるスカート、まるで古い映画に登場しそうな女性のスタイルです。
洋服自体はすごく可愛いんだけど、私が着ると学芸会の衣装みたいになっちゃう。
不安になりながらも時計を見ると、普段会社に出かける時間を過ぎていました。
急がなきゃ!
いつものようにガスの元栓を締め、ガラス窓の鍵、部屋の電気を指差し確認をし、ノートとお弁当、あまりお金の入っていない財布を持って会社に出かけました。
自転車だから恥ずかしく無い、大丈夫。
そう思っていても注目度が高く、すれ違う人は私を見ているようでとても恥ずかしい気分でした。
その派手ないで立ちに、男性は少し笑っているようで女性は驚いた顔をしています。
信号で止まると横に並んだ年配の女性も、驚いた顔をしています。
恥ずかしさを誤魔化すため、何故か初めてなのに会釈をしていました。
「あらー落下傘スカート。懐かしいわー」
知らない言葉が出てきました。
その方は私の服装を見て話しかけてきたみたいです。
優しいしゃべり方と微笑む表情に、当初の気持ちは忘れ会話を続けてしまいます。
「このワンピーススカート。そう言う名前なんですか? 知らなかったです」
「私も着てみたかったのだけど勇気が無くてねー、友人のを、憧れの目で見ていたわ」
たしかに腰の括れ部分から大きく広がる形は、写真などで見るパラシュートの形に似ています。
そんな愛称もついている洋服を他の方から褒められると、何だかまんざらではない気持ちになっていました。
「実を言いますと、この洋服は会社の先輩に頂いたのですが。あっ……」
言葉の途中で気が付くと、私は話を止めていました。
その方は突然のことに、疑問に思ったようです。
「どうかされたの」
「いえ、私。会社の方達に色々な物もらってばかりで、このバッグも上司が使っていたものをいただいてしまい、今更ながらそのことに気付きました」
「あら、良かったじゃない。それだけ貴方が好かれているのよ」
「でも、図々しいと思われないでしょうか」
「大丈夫よ、大事に使ってくれると思ったから、その方も喜んで貴方に渡したのよ。洋服やバッグもしまわれているより、使ってもらった方が嬉しいはずよ」
初対面ながらも、優しく接してくれるその方に感謝をしていました。
そんな気持ちの中、周りを見るとやはり注目する方たちが多くいました。
信号の向かい側でも、女子高生の集団が目立っている私を見ながら会話しているようです。
目立ちすぎるのもよくないなー。
再び恥ずかしさがこみ上げると、いそいそと別れの言葉をつげました。
「ありがとうございます。勉強になりました。あのーそれでは」
軽く頭をさげると、ご婦人は、小さく胸元で手を振ってくれています。
私は信号が変わると、その場を去りました。