翌日起床した私は、ミーコの部屋に朝食を描き終わると、前日同様、鉛筆とスケッチブックも描き加えます。
隣のページには……そうだ。
想像と現実を混ぜた、丘から見える町並みにすることにしました。
ミーコが眺め風景を描くのではないかと、思ったからです。
目標となる変わった建物が有ると描きやすいかな?
そう思い、町並みに東京タワーを加えます。
私は一通りページ内を確認すると、寝ているミーコを起こすことなく、ノートを持て会社に出勤しました。
会社にノートを持ってきたのは、森川さんにこのことを相談しようと考えたからです。
タイムカードを押した後、私は社内を見渡し森川さんが出社しているか確認しました。
森川さんはお茶が入っていると思われるマグカップを持ち、席に着くところでした。
「おはようございます……」
小さな声で挨拶をすると、いつものように浸しみやすい言葉を返してくれます。
「おはよう、今日はむしむしするね」
「森川さん、あのー……相談に」
私はカバンからノートを取り出すと、森川さんは優しい表情のままそれを見つめ、しばらくの間沈黙しています。
「……もうすぐみんなが出社してくるから、お昼時間でも大丈夫?」
何かを察したかのようにも、とらえられるその言葉は、私に緊張感を与えます。
「ありがとうございます。……よろしくお願いします」
お礼を言いつつも、森川さんは何かを知っている。
そんなことを予感し、ノートをカバンにしまいました。
私の務める会社は、少し変わっていることがあります。
お昼に近づくと高齢で女性である社長が、自ら会社に置かれている電話を留守番機能に切り替え、会社近くの自宅に息子さんの専務と、お昼ご飯を食べに出かけます。
切り替えるのを合図に、私達は仕事の手を止め、近くのお弁当屋さんや、お食事処に出かけるのが、この会社のお昼の光景です。
このことは、お昼時間を有意義に使って欲しいと考えている、社長の心使いではないかと、私は勝手に思っています。
今日もお昼の十分前から職場の電話を切り替え、社長と専務は会社を後にします。
外に出かける社員は皆、社長と専務の後ろに並び、雑談しながらゆっくり会社を後にします。
私と森川さんはお弁当を持ってきているので、普段はお昼前にお茶を入れるなどの準備をするのですが、今日はみんなが出かけるのを見届けると、森川さんは笑顔で切り出してくれました。
「朝の話をしようか」
私は再度カバンからノートを取り出し、手渡しながら説明します。
「このノートに女の子を描いたら……しゃべったり動くように……なったのです」
私は急ぐあまり自分でも下手な説明であると思うと、声の勢いが尻つぼみになっていました。
森川さんはその変な言葉にも動じない対応で、ノートを受け取り優しくページをめくりました。
隣のページには……そうだ。
想像と現実を混ぜた、丘から見える町並みにすることにしました。
ミーコが眺め風景を描くのではないかと、思ったからです。
目標となる変わった建物が有ると描きやすいかな?
そう思い、町並みに東京タワーを加えます。
私は一通りページ内を確認すると、寝ているミーコを起こすことなく、ノートを持て会社に出勤しました。
会社にノートを持ってきたのは、森川さんにこのことを相談しようと考えたからです。
タイムカードを押した後、私は社内を見渡し森川さんが出社しているか確認しました。
森川さんはお茶が入っていると思われるマグカップを持ち、席に着くところでした。
「おはようございます……」
小さな声で挨拶をすると、いつものように浸しみやすい言葉を返してくれます。
「おはよう、今日はむしむしするね」
「森川さん、あのー……相談に」
私はカバンからノートを取り出すと、森川さんは優しい表情のままそれを見つめ、しばらくの間沈黙しています。
「……もうすぐみんなが出社してくるから、お昼時間でも大丈夫?」
何かを察したかのようにも、とらえられるその言葉は、私に緊張感を与えます。
「ありがとうございます。……よろしくお願いします」
お礼を言いつつも、森川さんは何かを知っている。
そんなことを予感し、ノートをカバンにしまいました。
私の務める会社は、少し変わっていることがあります。
お昼に近づくと高齢で女性である社長が、自ら会社に置かれている電話を留守番機能に切り替え、会社近くの自宅に息子さんの専務と、お昼ご飯を食べに出かけます。
切り替えるのを合図に、私達は仕事の手を止め、近くのお弁当屋さんや、お食事処に出かけるのが、この会社のお昼の光景です。
このことは、お昼時間を有意義に使って欲しいと考えている、社長の心使いではないかと、私は勝手に思っています。
今日もお昼の十分前から職場の電話を切り替え、社長と専務は会社を後にします。
外に出かける社員は皆、社長と専務の後ろに並び、雑談しながらゆっくり会社を後にします。
私と森川さんはお弁当を持ってきているので、普段はお昼前にお茶を入れるなどの準備をするのですが、今日はみんなが出かけるのを見届けると、森川さんは笑顔で切り出してくれました。
「朝の話をしようか」
私は再度カバンからノートを取り出し、手渡しながら説明します。
「このノートに女の子を描いたら……しゃべったり動くように……なったのです」
私は急ぐあまり自分でも下手な説明であると思うと、声の勢いが尻つぼみになっていました。
森川さんはその変な言葉にも動じない対応で、ノートを受け取り優しくページをめくりました。