「プレゼント? 杉田くんも正直と言うか、とっても真っ直ぐね」
 意味深い言葉に意識すると、顔が熱くなっていました。
 恥ずかしい、そんなんじゃないのに。


 否定する気持ちの中、隣にいる森川さんのことも気になります。
 森川さんは、あのノートのこと何か知っているのでしょうか?
 ノートのことを聞いてみようか? 
 そう思いながらも言葉に出せない私がいます。
 朝の時点からそんな考えを持って業務をしていましたが、その日は相談が出来ないまま、時間が過ぎ去ってしまいました。

 帰宅後もミーコを一人にさせておくことと、ページの移動について悩んでいました。
 出来るだけミーコに不安な気持ちを与え無いようにするため、表情に出さないよう、心がけていました。
 そして楽しい話題をしようと考える私にとって、今日いただいた色鉛筆は救世主的な存在です。


 せっかくもらったんだから、ミーコと楽しもう。
 心の中で自分に言い聞かせると、元気な自分を装いながら、色鉛筆をミーコに見せました。
「ジャーン! 色鉛筆だよ。公園の空、青空に塗ろうか?」
 その言葉に、元気よく返事が帰ってくると思ったのですが、ミーコは少し考え私の方を指差しました。


「あの色がいい」
 私は指の差す方向を振り返り見ると、部屋は夕日であかね色に染まっています。
 その色はそっと現れたかのように、部屋の中に窓枠や、私の影を映し出していました。
「この夕焼けの色?」
「うん」
 元気よくうなずき、笑顔を見せます。


 私は部屋から見える空の色を参考に、ノートの空をあかね色に塗っていきます。
 いただいた色鉛筆をノートに当てると、想像とは違う手応えがありました。
「柔らかい」