突然のことで目が点になる。 「きょ、恭くん……苦しい……」 「あ、ごめん」と離れる恭くん。 「ありがとう絢音。おれ、ほんとに良い幼なじみを持ったよ」 「うん……」 抱きつかれたくらいでは動じない。 でも、“幼なじみ”──わたしたちの、ある意味で合言葉のようなそれには、なぜか胸がずきんと痛んだ。 うれしいはずなのに、なにかもの足りないような……。 さっそく次の日、わたしは良い考えを実行するために歓楽街に出向いた。