「国道走ってたら…裸足で車道に飛び出そうとしてるバカを見つけたから、一時的に保護してるだけ」



……コイツ、チクりやがった。



【……は?籃ちゃん?うそ、だよな?】



ごめんね、篠宮…ってもう一度謝ろうと思ったが遊佐くんがスマホを私から遠ざけたのでそれは叶わなかった





「お前と志帆がどーいう関係なのかはまた別で詳しく聞かせてもらう。ただ俺は良い奴じゃないからね…この後目の前の女が裸足で帰ろうが国道に出てバカなことをしようが、見て見ぬふりをして立ち去る。二度も助けてやるほど俺は暇じゃないからね」



【……遊佐っ、】



「─…志帆んちの最寄り駅の近くの国道…塾とカラオケが入ってるビルの前にいる。今すぐこっちに来るなら10分だけ、このバカを見張っててやってもいいけど…それ以上は待たない」


【…三分で行く】



そこで途切れてしまった通話。どうやら篠宮は志帆さんのお家を抜け出してここに来てくれるらしい。




「いや、三分は無理でしょ」



なんて言いながら遊佐くんは私にスマホを手渡してくる。




『なんで、篠宮を呼んだの?』


「ん?だって俺この後、蓮水《はすみ》さんと約束あるし。早く帰りたいんだよね」




蓮水さん…って、この前私が助けたあの女の子だよね?と思ったのが伝わったのか、



「うん、あの蓮水さんだよ…可愛いでしょ?」




─…ベタ惚れだな。