「ぶっ壊しちまえよ、くだらねぇ─…」



振り上げた手をグッと掴んで…"壊せ"と言った遊佐くん。何を?なんて、聞かなくてもわかる




『人の話聞いてた?篠宮は志帆さんと、』


「それは、アンタの口から聞くことじゃない。俺がアイツに直前聞くからそれ以上何も言うな」



確かに…それは正論だと思う。だったらもう私に構わずどっか行ってくれたらいいのに…




「スマホ貸して」



遊佐くんは何を思ったのか、私にスマホを貸せと言ってくるが…大人しく従うほど私だってバカじゃない



『イヤだ、もうどっか行って、』


「─…貸せよ」




……彼の放つ独特のオーラと雰囲気に負けて、ポケットから取り出したスマホを遊佐くんの手の上に置いた




「……分かってねぇよ、アンタ」



遊佐くんはスマホの画面を私に向けてきて…うっかり画面を見てしまったことにより顔認証のロックが解除される




「麻斗がどーいう奴なのか、全然分かってない」



【篠宮 麻斗】と表示されている連絡先の画面を私に見せる遊佐くん。彼は迷うことなく発信ボタンを押した。




『っな…なんでっ!やめてよ、篠宮はいま、』


「─…だから?志帆と居るから何?俺ね、初めてなんだよね…麻斗がバイクの後ろに女乗せてるのを見たの。アンタと麻斗の関係が何なのかは知らないし興味もないけど、少なからずアイツの中でアンタは"特別"だ」




……とくべつ?