『あ…あの、なんでここに、』
「うん、とりあえず場所移動しようか?すげー邪魔になってるよ、アンタ」
グッと私の手を引いて立たせた遊佐くんは、すぐに手を離してバイクのエンジンを切って…車体を押して歩道に乗り上げてくる。
「そっち座れそうだから…そこまで歩ける?」
そっち、と言われた方に目を向けると…街路樹が植えられているそばに座れるような段になっているところがある。
頷いてそこまで歩いて…遊佐くんがバイクを停めて腰を下ろしたので、自分も同じように少しだけスペースをあけて隣に座った。
「……麻斗は?連絡した?」
なんで篠宮?私=篠宮だと思っているならそれは大きな勘違いですよ、遊佐くん。
『篠宮はいま彼女とご飯食べてる』
「………彼女って、アンタじゃないの?」
ほらね、やっぱり。遊佐くんは知らないんだ。
篠宮が志帆さんの親に"責任をとれ"と言われて付き合っていることを…遊佐くんは、知らない