『お願いしますっ、なんでもする…もう迷惑はかけません、ちゃんとするからっ』


「……籃、もう決めたことだ。黙りなさい」


『イヤだっ、おとうさん、』


「黙れっ、」



突き飛ばされた力が凄すぎて…吹っ飛んだ私の身体は近くに飾られてあった壺にぶつかってしまった。



その衝撃に耐えきれず、落下して粉々になった壺。昔からそこに飾られていたソレが高価なものだとはなんとなく分かっていたので、慌てて破片を拾って元に戻そうと無駄なことをしたせいで手のひらが深く切れてしまった





「……お前なんて、娘じゃない。完璧じゃない人間は三澄の家には要らない…俺の目の前から消えてくれ─…籃」




消えろ、っと言われて身体がガタガタと震えた




今となっては疎遠になって会うことも無い中学のクラスメイトたちの冷酷な視線を思い出す。




───たすけて、

篠宮っ…助けて、、




書斎に父親が消えたのとほぼ同時に走り出して、靴も履かずに家を飛び出した



行く宛てなんてない、私には帰る場所なんて元々なかった。




【篠宮 麻斗】



と表示された連絡先を開いて電話を掛けようと思ったが、直前で躊躇い…指を止める。