「……お前には失望した」



父親は、何度も何度も手をあげたりはしない。一度平手打ちをすれば大抵それで気が済むみたいでその後は再び私を視界から消す。




だからこれは躾の一環と自分も理解していたし、成績が悪い自分のせいでもあるので別に父親のことを恨んだりする気持ちはない。




本当に酷い親だったら、平手ではなく拳で思い切り殴ってくることだろう。それも一度に限らず何度も。でもそれが無いということは…父親の中にも少なからず私に対しての義務や責任のようなものが存在しているのだろう



っと、思っていたのに、、




「籃、高校を辞めてカナダに行きなさい」




って…突然のことに何の反応も出来ずにただ父親の顔をジッと見つめた。…なんて言ったの?




「海外へ留学しろと言ってるんだ」


『な…んで、ごめんなさいっ!次はちゃんと3位以内になるようにするから』


「その言葉は聞き飽きた。少しでも三澄の家の役に立ちたいと思うなら…日本から出て海外で生活してくれ。金の援助はする。お前が居るとこの家の秩序が乱れる、欠陥品は要らない」


『いやだよ、お父さんっ…待って、』


「もう、待てない。適当な財閥の男と結婚させようかとも考えたが、常識のない娘だと世間に知られるのは困るからな。日本から出て三澄の家とは関係の無い土地に送り込むのが一番手っ取り早いと考えた」




父親はそれだけ言うと、私から離れて書斎に消えようとする。あまりに突然すぎる内容に恐怖すら覚えたが…このままではダメだと、立ち去ろうとする父親の腕にしがみついた