少しして開放された頃には、すっかり肩で息をするほど呼吸が乱れている私。
「……その顔は反則、そんな顔で俺の事みないで藍ちゃん…止められなくなるっ」
再び私に触れようとしてくる篠宮の身体を強く押して全力でそれを阻止する。
『もうおしまいっ!!友達はこーいうことシないっ!』
「んだよ、自分から誘っといて、」
『っさ、誘ってない!変な言い方しないで!あれは…どうせなら願いごとしといた方が得かなって思ったから仕方なくキスしただけでっ、』
「……さっきのあれ、本当なの?!じゃあ藍ちゃんの初キスの相手…俺ってこと?」
………知らん、
キス自体初めての私がそんなジンクスを知っている訳が無いだろ、篠宮がバカで本当に良かった。
しょーもない嘘だけど、私のこの小さな嘘が篠宮が前に進むきっかけになればいいと思った。お願いごと…なんて、子どもっぽいけど…目に見えないものだし、嘘かどうかなんて誰にも分からないしね。…それに、実現してしまえばそれは嘘ではなくなるだろうから─…
『これで…篠宮は遊佐くんと仲直り出来るよ。また三人で、これから楽しい思い出を作れるよ。っていうか、私のファーストキスを奪ったんだから、ちゃんと遊佐くんと話し合ってよ?無駄にしたらタダじゃおかない。』
手で拳を作って篠宮のおデコを軽く小突いた
「痛ってぇ…コラ、藍ちゃん?」
『篠宮のことは叩いていいんでしょ?』
「あー…そーいえばそんな話だったっけ」
っと呆れ顔の篠宮にイラッとした時、グッと腕を引かれて彼の腕の中に閉じ込められる