言葉を詰まらせた篠宮に、その先を話して…なんて酷なことをいうつもりは無かった。



多分─…その勇牙って子は、もうこの世に居ないんだ。なんとなく、そんな気がする。




「遊佐…って、覚えてる?」


『……この前の、』


「中学の頃は仲が良かったんだ。だからあの日俺は、遊佐に連絡を入れた。勇牙がモメてるから一緒に来て欲しいって…頼むつもりで、何度もっ…何度も電話したのに、アイツは出なかった。遊佐は…来なかった」



『ねぇ、篠宮、』



「遊佐が現れたのはそれからずっと後…病院で、真っ暗な部屋の中で…二度と目を開けることの無い勇牙と対面した時。」



『篠宮っ…』



「遊佐が一緒に来てくれていればっ、助けられたっ!!俺が志帆のところに行ってる間、遊佐が勇牙の元に駆け付けてくれればっ、アイツは死なずに済んだっ」



『篠宮ってば、』



「だからっ!!俺は遊佐が嫌いだし、許せない…顔も会わせたくない、口をきくのも嫌なんだ。」




もう、辞めてっ…聞きたくない、そんな話し…聞きたくないよ、篠宮っ。





「少し…話が逸れたけど、、志帆を守るのは勇牙への罪滅ぼしみたいなもん。俺は勇牙を助けられなかった。勇牙に許しを乞いたくて…俺は志帆との関係を続けてる」




──…嫌になるね、そーいうのは




「だから…俺は志帆とは別れない。」



もう、何も言えない─…




「別れ…られない、」





なんて、そんな訳ないでしょ。


ねぇ篠宮、それは違うよ─…間違ってるよ。