「─…藍ちゃんっ、」


『行かないでよ、篠宮』



振り返った篠宮と目が合った時、堪えていた涙が目からこぼれ落ちて…私の頬を伝った




「藍ちゃん…藍ちゃん、ごめんっ!待ってどうしよう、、」



分かりやすく慌てだした篠宮は、しばらく狼狽えてから困ったような表情を浮かべて…




「……藍ちゃんを、連れ出してあげるべきだったね」



そう言って…控えめに、私のことを抱き締めた




「まさか、日向が居るなんて思わなかった。アイツ…志帆を教室に送ったらすぐに藍ちゃんに謝るつもりだったから急いで戻ってきたんだ」




やっぱり…篠宮は篠宮なりに色々考えて行動してたんだね。




「朝、アイツがちゃんと登校したかどうか親に連絡入れねぇといけなくて。それで探してただけだよ。俺が会いたかったのは"藍ちゃん"」





そんなこと、言われても嬉しくない。



「ねぇ、さっき日向に何されたの?もしかしてキス…された後だった?」



された…って言ったら、篠宮はどんな顔をするんだろう?