志帆…と呼ばれた彼女の手を引いて出ていってしまった篠宮。なんとも言えない胸のモヤモヤが募り始める
呼び出されたのは私なのに。
なんだか理不尽に怒られたような気がして腑に落ちない。けど…これ以上篠宮を怒らせるのは避けたいので、この件についてはもう黙っていよう
そう思い、ため息をついてから図書室を出ようとした時だった。
「……麻斗も、酷い男だね」
誰も居ないと思っていた図書室の奥の方から一人、長身の男子生徒が登場してきたのだ
驚きのあまり言葉を失い彼を凝視していると、
「…あれ?俺のこと、知らない?」
って…以前篠宮に言われたような、自意識過剰発言が飛び出した。……ナルシストが多い学校だな。
『………先輩ですか?』
少し大人びて見える彼にそう尋ねると、
「いや?麻斗とタメだけど?」
なんて答えが返ってきたので、篠宮の友達の1人なんだろうな…っとなんとなく察した