その時─…ガラガラ、っと図書室のドアが開かれて。タイミング悪く入ってきてしまった篠宮



───最悪、



「………志帆《しほ》、探した。」



私の名前ではなく、目の前の彼女の名前を呼んだと思われる篠宮─…一切私のことを視界に入れようとしない篠宮に違和感を覚えつつ、彼女の頬を叩こうとして宙を浮いていた左手をそっと下ろした




「三澄さん、ごめんね」



ごめん…なんて言われたら、私が彼女に対してなにかしたみたいに見えるじゃないか。




っていうか何の謝罪?余計なこと言ってごめんって謝罪?それとも自分が篠宮の彼女で居てごめんって意味の謝罪?




─…ムカつくっ、

どっちにしても、ムカつく。




無意識に、手でギュッと拳を握ってしまう。