『もう、5秒経った』

「まぁだ。2秒しか経ってない」

『……はい、5秒』

「うん、まだ3秒ね?」

『…………いや、15秒は経ってる!』

「あれ?そうだった?まだ俺の中では4秒」



コイツ、私とは別次元を生きてるのか?随分と都合のいい秒針をかかえて生きてるな。




「言ったでしょ、相手が女でも男でも…家族でも誰でも。藍ちゃんを傷つけた奴は俺が全員、黙らせてやる─…って。」




まぁ…確かにさっき言われたような。




「あれ、嘘じゃないから。何かあったらいつでも連絡してよ。友達としてすぐに駆けつける」



───友達として、



当然だ、だって篠宮にはよく分からない責任で押し付けられた例の"彼女"が居るんだから。



私は篠宮の友達。それは分かってるけど─…




『友達って、こーいうことする?』



抱き合ったりなんて…しないよ。




「俺、結構こーいうことするよ?もちろん女の子の友達は藍ちゃんが初めてだから、女の子の友達を抱きしめるのは、初だけどね」



ずるいな、ほんと。篠宮はズルいよ。