『友達と、喧嘩したから…仲直りがしたくて』
「──それで？その頬の傷は？」
『これはっ…知らない女の子を助けた時に、』
パチンっ…と、乾いた音が静かな住宅街に響いた。と同時に叩かれた頬がヒリヒリと痛む
──… 一日に二度も叩かれるなんて、災難だ
「三澄《みすみ》の家の人間が、外で揉め事を起こすなんて言語道断─…恥を知りなさい」
それ以上、何も言うことなく私の横を通り過ぎて自宅へと足を進める父親
別に、日常的に暴力をふるったりするような人じゃない。私が間違ったことをした時だけあんな風に怒るだけ。それ以外の時は別に…普通。
だから別に良かった。頬を叩かれるくらいなんてことない、私は大丈夫なのにっ、
「──おい…待てよ、オッサン」
篠宮 麻斗という男は─…
「恥を知るのはテメェの方だろ、クソがっ」
とんでもない爆弾を投下してくれた。
