「─…俺が、やり返すから。藍ちゃんがムカついた分だけ殴ってやる。相手が女でも男でも…家族でも誰でも。藍ちゃんを傷つけた奴は俺が全員、黙らせてやる」



『……物騒だね、』



「藍ちゃんが殴っていいのは俺だけ。ってこれ前にも似たようなこと言ったよな?」



『…サンドバッグになってくれるって話?』



「うん…そんな話し、した事ないよね?」




呆れたように笑った篠宮は、叩かれて少し腫れている私の頬をそっと撫でる




「俺のこと、探してくれてありがとう。ケガさせてごめんな?」


『……もう、怒ってない?』


「うん…俺も言いすぎた。もう怒ってないよ」


『良かった…あんまり怖い顔しないで』


「それは─…藍ちゃん次第じゃない?」



頬を撫でていた手を私の頭のてっぺんに持っていった篠宮は、そのまま手をおろして私の髪を撫でた





勝手に触らないで…って、言いたいところだけど。今は篠宮に触れられていることが少しだけ心地よかった。




多分、いやきっと─…ここが海で…夜で、、いつもと違うシチュエーションだから。




だから……そんなふうに思うだけだ。




明日にはきっとお互い、元通りだよね。