「いやいや、1年6組…って、タメじゃんっ!マジで、俺のこと知らねーの?」



教室の前まで来た時、うるさく騒ぎ始めた彼がこれ以上騒ぐことのないように…ひとつヒントを教えてあげることにした。




「私…入学式の帰りに事故にあって、昨日からこの学校に通い始めたから。まだ友達とか居ないし地元もこの辺じゃないから…貴方がこの学校の有名人だとしても知らない─…ごめんね」




───嘘じゃない。



この学校の入学式の帰りに、事故にあった。あれから約2ヶ月たって、ようやく学校に通えるようになったんだ。




しかし…もう既に友達グループみたいなものは出来上がってしまっていて…完全に一人孤立してしまっていた訳で、、



さっきも何となく居心地が悪くて一時間サボって保健室で寝ていたところを…この男に邪魔をされたって訳だ。




「……事故?」




急に怖い顔をして、ジッと私を見据えるその瞳があまりに冷たくて─…先程までのウザくしつこい感じとのギャップが凄すぎてっ、思わず怯んでしまう




───なに?私、何か余計なこと言った?




「あー…いや、ごめんっ─…ってか友達居ないってこと?うわ、マジか!じゃあ俺が友達第1号か…やったあ、一番いただきましたっ!」




わーい…なんて子どもみたいに喜んでいるその男を無視して、教室に入る。ガラッ…っとドアを開けば、一瞬みんな静まり返って、、再び各々友達との会話を楽しむ。




───嫌な感じだな、、




別に何も悪いことなんてしてないのに。ちょっとみんなよりスタートが遅れただけなのに…転校生が来た、みたいなテンションで完全に除け者にされているのが少しだけ─…寂しい。