『聞いていい?さっきの遊佐って人は友達?』



柄の悪そうな目つきの悪い男の子だった。険悪なムードだったし…喧嘩中とか?



「トモダチっ?!やめてよ、あんなやつ。友達でも何でもない。嫌いなんだよね…俺。アイツのことも…アイツの周りにいる奴らも、全員」




───アイツの周りにいる奴ら?




「藍ちゃんは知らなくていいよ。ってか知って欲しくない。巻き込みたくもないし…アイツと関わって欲しくない」




『……篠宮?』



「もう、裏切られるのは嫌なんだ─…何も知らない藍ちゃんだけは唯一、、一緒に居て落ち着ける存在なんだよ。だから何も聞かないで…いま目の前に居る俺のことだけ…知って欲しい」




何も知らないから、一緒に居て落ち着く。



その気持ちは…私も理解出来る。




『分かった、もう何も聞かない…その代わり』


「……その代わり?」


『連絡先、教えてよ。私の友達第1号なんでしょ?篠宮の連絡先を知ってたら…すぐに会って謝ることが出来てた。もう無駄な時間は過ごしたくないから、連絡先…教えて』




スマホを取り出して篠宮に差し出すと…彼は何を思ったのか口元を手で覆って泣きそうな顔で私を見つめる