その時、どこからかバイクが近づいてくる音が聞こえてきて─…篠宮は急に顔色を変えて慌てて乗ってきたバイクに跨った
「─…遊佐、お前マジで最低だな。」
「何が?俺が呼んだわけじゃない。あの人の勘が無駄に鋭いだけ」
どうやら篠宮が嫌いな"あの人"というのがここに向かっているようで。篠宮はボーッと立っている私の腕を引いてバイクの後ろに乗るように諭す
「藍ちゃん早く乗ってっ!!!」
余裕の無さそうな篠宮が少し心配で…緊張しながら足をバイクにかけて、勢いよく篠宮の後ろに飛び乗った
───結構高いな…落ちたらどうしよう、
バイクの後ろに乗るなんて人生で初めて。そんな私の気持ちを読んだかの如く、篠宮が私の腕を掴んで自身の腰の辺りに巻き付ける
「……遊佐、やっぱお前嫌いだわ」
「奇遇だな、俺もお前のこと…嫌い」
一言、遊佐京志郎と会話を交わしたあとすぐに…篠宮がバイクを発進させて、そのスピードがあまりに速くて後ろに身体を持っていかれそうになったので─…慌てて篠宮の背中に飛びついた
「藍ちゃんってば、大胆〜〜!!」
なんて、大声で叫びながらバイクを走らせる篠宮の背中に、とりあえず猛烈な頭突きをくらわせておいた。
ところで─…このヤンキー仕様のバイクは一体、誰のモノなのでしょうか?