立ち去るでもなく、私の顔面を凝視してその場から動こうとしない彼。居心地が悪いので…未だズキズキ…っと痛む頭をフル回転させながら自分が出ていこうと思った時─…




「──待って、具合悪い?」



私の腕をグッと力強く握ったその男。いや…何勝手に触ってんだよって話し。



掴まれていない方の手で拳を作って…ゴツンっと彼のおデコを軽く小突いた。ほんとに、かるーく叩く程度で─…




「………は?っえ、なに?!いまのなに?!」



私の腕を掴んでいた手を離し、自身のおデコを抑えるその男を軽く睨みつける。



『──勝手に触らないで、気持ち悪い』



別に、当たり前のことを言ったと思う。よく知りもしない異性に腕を掴まれる…なんて。普通に気持ち悪い、っていうか…嫌悪感を抱くのは当たり前では?





しかし─…この目の前の男、あまりこういう否定的なことを言われ慣れていないのか、、何度も瞬きを繰り返しては私を凝視している




自意識過剰な顔が良いだけのナルシスト。関わってもろくな事がないだろうし、無視しよう。




「ちょ…ちょっと、待って!どこ行くの?」


『どこって…普通に教室戻るけど、』


「何年何組?!教室まで送らせて?」




───は?なんだこのウザキャラ。



『……教えたくない』


「あ…そ。じゃあ、勝手に着いていく」



変な男、って…それが最初の第一印象だった。