篠宮の彼女を知ることになったのは、その後すぐの事だった。



放課後、いつもの様にバス停に向かって歩く私の後ろから─…




「藍ちゃんっ、待ってよ!何で置いてくの?」



と言って私を追いかけてくる篠宮。いつもならそのまま隣に並んで一緒にバス停まで向かうのがここ最近の定番の流れだが、、




「………あっくん、」




一人の女子生徒の隣を通り過ぎた時、"あっくん"と呼ぶ小さな声が聞こえて…私の隣にいた篠宮が黙って足を止めた




「……なに」



っと、篠宮が答えたことから"あっくん"の正体が篠宮だと判明した。麻斗だから?だから、あっくんなのか?………変なの。




篠宮が足を止めたところで、私も一緒に立ち止まる義理はないので…もちろん置き去りにしてバス停まで歩く




追いかけてくる…かと思ったが、篠宮は先程の女子と話し込んでいるみたいだった。




───彼女?



だとしたら意外だな…なんか、大人しい感じ…悪く言えば"地味"な女の子だったから。





まぁ別に、私には関係の無いことだし…っと思いつつタイミングよくやってきたバスに乗り込んで1人がけの席に座った




篠宮が居ないと静かで平和だな…なんて思った瞬間、、



「……藍ちゃんっ、待ってよ!」



閉まりかけたドアに少し挟まれながら…篠宮が勢いよく入ってきた。