篠宮と絡むようになって数週間経つが…彼女が居るなんて情報が私の耳に入ることはなかった



だから…休み時間や放課後、私にやたらと絡んでくる篠宮を勝手にフリーだと思い込んでいた




───彼女、居たのか。



その時、チャイムがなり…昼休みがもうすぐ終わることを告げる。




『…教室、戻って』




お弁当箱を片付けながら篠宮にそう言った私に、奴は何を思ったのか─…




「……嫌だ。なんか藍ちゃんいつも以上に不機嫌だから帰らない」



っと、子どもみたいな発言をして私の隣に居座り続ける麻斗。なんだコイツ、面倒だな。




『彼女が居る人と必要以上に仲良くなりたくない。早く教室戻って。』


「彼女だけど、別に彼女じゃない。藍ちゃんの方が可愛くて好き。機嫌直るまで戻らない」


『──…サイテー。ウザい、あざとい。』


「麻斗…って、呼んでくれたの?ありがとう」




会話にならない…っと、呆れて篠宮を無視しようと決めた私。周りの女子たちも私のイライラがMAXに近付いているのをなんとなく察したのか、各々席に戻っていく。





「……藍ちゃん、こっち向いて?仲直り出来ないと帰れないよ…いつまでもここに居るけどいいの?帰って欲しかったらこっち向いて?」




────ズルいな




『………なに』



っと、篠宮の方に顔を向けると、、




「あ…藍ちゃんがこっち見たっ!可愛い」




なんて言ってヘラヘラ笑っている篠宮。ほんとしょーもない。何がって?アホみたいに笑っている篠宮を見てイライラがおさまっていく私自身が…しょーもなくて、謎。