篠宮 麻斗という男と出会った日から─…
私の学校生活は明らかに色を変えた。




「ら〜んちゃ〜んっ!」



休み時間になると、私のクラスに顔を出す篠宮。奴が来る度にクラスは一瞬静かになる。



──何だ、コイツ嫌われてんのか?




なんて思ったのは初めだけ。篠宮を見るみんなの目は"憧れ"や"好意"、"尊敬"みたいなそんな眼差しが大半だったから…みんなに好かれてるんだなぁって、すぐに悟った。




「藍ちゃん、見てよこれ!さっき体育の時サッカーしてたんだけどさ〜シュート打った瞬間顔面から地面に転んだっ…痛い、死ぬかもっ」




見て…っと言って、自身の頬を指差している篠宮の顔面をジーッと見つめて─…




「っ痛、ちょ…なんで押すの?!」


『押した方が治るの早いって、なんかのテレビでやってた』


「……なんのテレビ?抗議の電話入れてやる」


『知らない。私の家テレビないから』


「……藍ちゃん?暴力、しない約束は?」


『麻斗のことは殴っていいって言った』


「いま、麻斗呼びはズルくない?」




───お前が言うな。そして顔があざとい。