『……あの、一つ聞きたいんだけど…総長さんって何?篠宮は何の総長さんなの?』



「………は?え…なに、お前まさか知らねぇの?!」




驚いたように私を凝視する日向は…数回瞬きをしたあと私の目をジッと見つめて─…




「麻斗は暴走族の総長だよ、自分で作ったチームの初代総長。AZ(エーゼット)ってチームなんだけど…知らない?」




………エー…ゼット?


A Za To


って名前の頭文字からとった感じ?




っえ………ダッサ!!!!!




『……なにそれ、冗談?』


「いやいや、ガチだって。お前麻斗のバイクの後ろ乗ったことあるんじゃねぇの?乗っててなにも思わなかった?」



『まぁ確かに…バイクの運転が得意なのかな…っとは思ってたけど、』



「得意…?そんなもんじゃねぇよ、麻斗はどこにでも特攻していくような切り込みの天才だからね。いつ見てもすげぇなって感心するよ」




なに…?全然意味が分からないんだけど、つまり篠宮は、暴走族なの?しかもその中で偉い人ってこと?




その瞬間…初めて篠宮と一緒に教室に入った日のことを思い出した。篠宮と友達だっていう理由で、私はたくさんの生徒に話し掛けられて、色んな人と友達になることが出来た。



その時何人かの男子生徒が"一緒に走ってる"とかって言っていたのをよく覚えている。




当時私はそれを聞いて篠宮は陸上部だと勘違いした訳なのだが…まさかバイクで"走ってる"という意味だったなんて…想像も付かなかった。