『な…に、離してよっ』
「お前、人を殴ったりしないって…麻斗と約束したんじゃねぇのかよ?」
なんでっ、知ってるの?
「前に、図書室でそんな話してただろ?」
まさかっ…あの後…図書室を出ていったあと、外で私と篠宮の話しを聞いてたのっ…?
「麻斗が居ないからって、約束を破るのはどうかと思うけどね。」
『そんなことっ…あなたには関係ないでしょ、これは私と彼女の問題で、』
「関係なくも無いよ。俺ずっとムカついてたんだよね─…志帆にも麻斗にも。勇牙が居なくなってすぐに付き合いだしたコイツらを、心から軽蔑したし、気持ち悪いって思ってた」
……急にまた、なんの話し?
この人も勇牙くんの件に関与してるってこと?
「でも…その理由が志帆の父親がどうのこうのって話しなら…また別の意味で麻斗には腹が立つ。それから─…遊佐にも。」
急に現れたキーパーソン的存在のこの人。でも生憎私はいま勇牙くんのことではなく…ただ単純に目の前の志帆さんに対して腹が立っている
この日向という男子生徒にかまう余裕なんてものは残されていない。