家の近くのコンビニにバイクを停車させた篠宮は何も言わずに私の右手を握ってくれる
「藍ちゃんは何も言わなくていいから、俺の後ろに隠れてて」
なんて、そんな男気溢れる発言にドキドキしながら…二人で私の家の前に来た時─…
家の門の外で立っている父親を見つけて無意識に篠宮の手を強く握ってしまう
「……また君か、こんな時間まで娘を振り回すのは辞めてくれないか?場合によっては警察に突き出してもいいと思ってる」
父は篠宮の後ろに隠れるようにして立っている私を視界に入れると、大きくてため息をついた
「藍、早く家に入りなさい。」
嫌だ、帰りたくない─…篠宮、、
「すみません、一つだけ言わせて貰っていいですか?」
後ろからだと篠宮がどんな顔をしているのか分からない。だけどその声色はとても低いもので怒っているんだろうなっていうことだけはなんとなく分かった
「……なに?手短に頼むよ」
「コイツ、要らねぇなら…俺が貰っていい?」
………は?
っえ、ちょっと…何言ってんのこの人っ!