すぐに食べ終えて、片付けは手伝わせてもらった。私も料理を練習して…いつか篠宮に作ってあげられたらいいな、なんて女の子っぽいことを思いながら…二人でお皿を片付けて、、




「よし、そろそろ帰ろうか…送るよ」



日を跨ぎそうになっていることに気付き…気持ちがどんどん憂鬱になる。



「俺も一緒に行くから、藍ちゃん…帰ろう?」


『……カナダに留学しろって、言われた』


「……え、」


『今までなら、流されるように従って留学してたと思うけど…今の私には、篠宮が居るから』


「…藍ちゃん」


『─…いやだ、行きたくない。麻斗と一緒に居る』




篠宮の右手の人差し指を…子どもみたいにギュッと強く握った私を見て、篠宮は困ったように笑うと、、




「そんなん、行かせるわけねぇだろ。ってかどうしても行くっていうなら…俺も連れていけ!ってあのオッサンに怒鳴ってやる」



『…麻斗、』



「俺がなんとかしてやる。藍ちゃんの不安要素はね?俺が全部取り除いてやるから、もう傷つかなくていいし、泣かなくていーんだよ。俺と出会った時点で藍ちゃんはそーいう運命にあるんだから」




なにそれっ、彼女持ちのくせによく言うよ。




「─…大丈夫、絶対に俺が守ってあげるから。だから今日は帰ってちゃんと自分の布団で寝るんだ。眠れないなら電話繋いで一緒に寝てやる。それなら…怖くないでしょ?」




どうしよう。好きが溢れ出してとんでもないことになっている。こんなことを言われて好きにならずに居られる人がいるなら会ってみたい。




知らなかった篠宮の家族事情。きっと私が知らないことはまだまだ沢山あるのだろうけど…それでもやっぱり私は篠宮のことが好きだし、一緒に居たいって思う。




──そう、私はまだ篠宮の隠し事を知らない。



篠宮 麻斗という人間がどーいう人なのか、ちゃんと知らなかった。知るタイミングを逃し続けた。





そしてその隠し事を私は、思わぬ形で知ってしまうことになるのだった。